先日、大絵馬の下描きがほぼ完了し、
紙に描かれた下絵のお披露目をしましたが、
実際奉納する絵馬は、厚い木の板に描かれます。

昨日は、その板を選びに製材所まで、絵馬プロのみんなで見学に行きました。

今回、大絵馬用の木の製材をお願いしているのは篠ノ井塩崎にある宮崎製材所さん。
昨年の御柱祭で柱を建てた守谷商会の戸松さんに紹介していただきました。

地方の製材所で考えること

大屋根の工場の中は、材木で一杯です。
様々な種類の木を見せていただき、木目の特徴や木の性質などを説明していただき、
価格も考慮しつつ、地杉の赤身部分から材料を取ることにしました。
白馬から伐採されてきた杉だそうです。

地方の製材所で考えること

そもそも樹木は心材(しんざい)と辺材(へんざい)と呼ばれる部分から構成されていて、
心材は樹心に近い部分を指し、赤身を帯びているため「赤身」といわれています。
一方、辺材は「白太」と呼ばれ、水分や栄養分を通すパイプの役割を果たしています。
心材は辺材に比べて硬質で強度があり、狂いが少ない上、虫害も受けにくい部分です。

ここで、ちょっと難しいけど、心材の特性を理解するために説明を加えると、
辺材を構成している「柔細胞」は生きているとき、微生物などの攻撃から樹木を守っていますが、
この柔細胞は死んでいく過程で、微生物の嫌いな樹脂や色素といった心材成分を合成して
細胞を覆ったり、細胞中の通路を塞いで微生物の通り道を閉ざすなどの働きをします。
このため、心材は辺材に比べて、シロアリや菌類に強い性質を持っているのです。

細胞が死んで心材に変質していくという生理活動の仕組みが、
樹木が地球上でもっとも巨大かつ長寿命の生物となり得たという点は興味深いです。


さて、その他にも製材所の歴史や、時代による木材をめぐる社会情勢の変化、
木を伐り出す季節の話や、生活スタイルや価値観の変化、
木材利用と二酸化炭素の関係等々のお話を聞きました。

ここは地方都市の更に郊外の小さな製材所です。
でも、この小さな製材所で語られていることは、生物学から経済・社会問題、
身近な地域から世界規模の話まであらゆる領域を横断していました。

地方の製材所で考えること

製材所の一角に設けられた、職人たちの休憩所が世界とつながっているのだと感じます。

しかも、頭でっかちな知識としてというよりは、経験を通した知恵として、
どうしていくべきかという視座を、なんとなく私たちに示してくれているようでした。

記:宮本



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Posted by 絵馬プロ at 13:54│Comments(0)準備
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